| 第39回日本老年脳神経外科学会 会長 黒﨑 雅道 鳥取大学医学部脳神経医科学講座 脳神経外科学分野 教授 |
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この度、第39回日本老年脳神経外科学会を2026年4月18日(土)に米子コンベンションセンター(ビッグシップ)において主催させていただくこととなりました。本学会を担当させていただくことを鳥取大学医学部脳神経外科教室員一同大変光栄に存じております。
渡辺高志前教授が会長で2015年4月17日に今回と同じ会場で第28回の会を開催されましたが、その時のテーマは「高齢者脳外科手術の限界」でした。手術適応に関しては年齢的な要素のみならず、患者さん自身の病前の意向も考慮する必要があるのではないか、というのが会長の問いかけでした。特別講演では、国立長寿医療研究センター総長(当時)の鳥羽研二先生に老年医学の立場から「フレイルの概念と超高齢社会の医療」についてお話しいただきました。その当時、フレイルは非常に新しい概念であり、私自身もこの講演を通じて知ることができました。
あれから10年。高齢化地域の代名詞のように言われていた山陰地方ですが、現在は65歳以上の人口比率でみた高齢化率ランキングでは鳥取県は16位(2024年)となっています。一方で鳥取県の健康寿命は男性でワースト3位、女性でワースト7位との報告もあります。この結果を踏まえ、鳥取県においては鳥取大学医学部が中心になってフレイル予防による健康寿命延伸プロジェクトを現在進行中です。本学会のテーマを「超高齢化社会における脳神経外科医の使命」としました。以前のテーマに掲げた治療や手術の限界を踏まえたうえで、高齢患者の治療成績向上とQOL維持の両立を目指した治療戦略を考える会にしたいと考えています。
サブテーマとして「いかに老後を豊かに過ごすか」としました。プログラム・抄録集の表紙の写真は著名な写真家である中村 治氏にお願いしました。モデルは私の患者さんとそのご主人です。鳥取県の山間地にログハウスを建てられてお二人で自給自足の豊かな老後を過ごされています。月に1回、ご主人の運転で私の外来へ通院されています。お二人とも後期高齢者ではありますが、とても人生を謳歌されており、いつも外来で楽しくお話しさせてもらっています。1月の雪降る寒い日にもかかわらず、学会開催の4月に合わせた春の装いで写真撮影にご協力いただきました。ただし、今後は約30年間住み慣れたこのログハウスから市街地のアパートへ引っ越すことを考えられているそうです。これも現実です。
超高齢化が進むわが国において、その影響を最も強く受けているのが地域医療です。本学会の目指す「健康長寿社会の創出と健康寿命の延伸に向けて、高齢社会で脳神経外科診療が果たしていく役割を多方面から検討する」場として、この鳥取県米子市の地から何らかの発信ができればと思います。同日に日本脳神経看護学会中国地方部会を併催予定としております。多くの看護師の皆さまに参加いただき、多職種連携の議論の場にもしたいと考えています。
特別講演では元厚生労働省官僚および元衆議院議員の豊田真由子さんに、ご専門の超高齢社会や持続可能な社会保障制度についてお話しいただきたいと思っています。
ここ米子市は、島根県との県境にあり、出雲にも近く、歴史と神話の息吹を感じる聖地であります。次回、三重大学医学部脳神経外科鈴木教授が開催される予定の伊勢の会に繋がれば幸いです。多くの皆さまとこの地でお会いできることを楽しみにしてます。
令和7年7月吉日