第31回日本発汗学会総会 会頭　　下村　裕 山口大学大学院医学系研究科　皮膚科学講座　教授

　謹啓 時下益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

　この度、2023年9月9日（土）に、第31回日本発汗学会総会を山口県宇部市のANAクラウンプラザホテル宇部において現地開催させていただくことになりました。現在、できる限り充実した学会になるように準備を進めております。
　汗腺は皮膚付属器の１つであり、人体の恒常性の維持のために極めて重要な役割を果たしているといえます。しかしながら、その発生・分化のメカニズムや汗腺の異常による疾患の発症機序などについて未解明な部分は多く残されています。近年、STEAM（science, technology, engineering, art, mathematicsの略）という教育システムが導入されつつあり教員を悩ませていますが、本学会は、脳神経内科学、皮膚科学、生理学、理工学など多彩な専門分野の医師・研究者が会員として参加されており、実は何年も前からSTEAMを実践し続けていると言えます。つまり、ある共通の謎に対してさまざまな視点から多面的にアプローチしてきた素晴らしい伝統がございます。また、「汗」に関することであれば何でもwelcomeというスタンスで、とてもat homeな雰囲気の学会であることも魅力の1つだと思います。
  第31回日本発汗学会総会のテーマは山口県（長州）にちなんで「発汗維新！」にいたしました。まだコロナ禍は続いておりますが、汗のマニアたちが長州の地に直接集い、活発な発表および意見交換を行うことで、発汗学が著しく発展・前進する契機になることを願ってつけたテーマです。各分野のエキスパートの先生方を招いての特別講演とシンポジウムに加え、スポンサードセミナーでは、汗腺の疾患に対してようやく登場してきた新規治療薬の話題なども取り上げていただこうと予定しています。ただし、本学会の成功のためには充実した一般演題が不可欠と考えておりますので、全国の諸先生方におかれましては、どうぞ奮って演題を登録してくださいますようよろしくお願い申しあげます。
　山口県は、河豚と鯨はもちろんのこと、日本海と瀬戸内海から常時新鮮な海の幸が供給され、山の幸とおいしいお酒にも恵まれています。また、多くの観光地もございます。お時間に余裕のある先生方は、温泉で汗をかいた後に東洋美人や雁木などの日本酒で喉を潤していただくという贅沢なプランもぜひご検討ください。多くの先生方のご参加を心よりお待ちしております。

謹白
2023年 3月吉日