第24回日本褥瘡学会中国四国地方会学術集会
会長挨拶
レジリエント・コミュニケーション in 高知 ―職種を超えて再発見 ! ―

第24回日本褥瘡学会中国四国地方会学術集会
会長 赤松  順
近森病院 形成外科
 新型コロナウイルス感染症は、繰り返し反響する木霊の様に変異を繰り返し、生命や様々な人の営みを奪い続けて未だに生きながらえています。人々の触れ合いやコミュニケーションは、ICTの進歩により補完する努力がなされていますが、一方通行的であったりステレオ的な理解に留まったりする危険性もはらんでいます。
 「レジリエンス」とは、「回復力」や「弾性」「しなやかさ」「ストレス跳ね返し力」などを意味する言葉です。自らの生存をかけて変異するウイルスに負けない様に、褥瘡に関連する諸問題に立ち向い解決するには、こちらもレジリエンスをもって当たる必要があるかと思います。
 私の褥瘡との関わりは、1998年の発足時に日本褥瘡学会に入会したことで始まりました。創傷治療に興味を持って医師になった頃、大学病院では、「褥瘡は看護婦の恥」と言われ、入院を断られる事もありました。その後、四半世紀に及ぶ褥瘡サーガは、褥瘡の定義・分類や、危険因子評価・褥瘡状態評価ツールの普及に貢献し、科学的な見地から発生予防、治療の標準化へと進歩してきました。更にチーム医療による褥瘡対策体制を構築して地域包括医療と連携してシームレスな予防・治療環境構築を目指して努力が続けられています。
 最近では、糖尿病、膠原病、動脈性・静脈性皮膚潰瘍リスク患者における褥瘡発生など、褥瘡だけに留まらない複雑な創傷への対応など、多角的、複合的視点が要求される様になってきています。専門家による専門性が増すと同時に、各職種、各担当者がワークシェアすることでの効率化も進んでいます。
 一方、コロナ治療やケアが大きな負荷となった時、他の分野での作業量やタスクが増加し、心ならずも専門家や担当者に任せてしまえば、自分の仕事はそれで終わりと丸投げになっていませんか?コロナ禍の中で私たちは、自宅で効率的に知識を収集できる環境を得たものの、お互いの理解を深めるためのコミュニケーションは失われていないでしょうか?
 今回の地方会では、褥瘡診療に関係する医療者・介護者、療養環境提供者、医療材料提供企業を含めた多職種の人々がレジリエントにコラボレーションし、それぞれの考え方や新しいアプローチを素肌感覚で味わえる、現場中心の場の提供を目指しています。
 3月は初ガツオの季節です。自然の生命力に溢れた高知の地にお集まり頂き、色とりどり「らんまん」となるように新たな種を蒔きましょう。
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