第21回日本CAOS学会
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会長挨拶
「Beyond Singularity:変わるもの、変えるべきでないもの」

第21回日本CAOS学会
会長  野田 知之

川崎医科大学運動器外傷・スポーツ整形外科学教室
川崎医科大学総合医療センター 整形外科
 この度、2027年3月18日(木)・19日(金)の2日間、岡山コンベンションセンターにて第21回日本CAOS学会を開催させていただきます。本会の岡山での開催は2015年第9回(三谷 茂 会長、倉敷で開催)、2021年第15回(塩田直史 会長、コロナ禍にて岡山でハイブリッド開催)に続き3回目となります。整形外科のフロントランナーとも言える本学会を担当させていただくことを大変光栄に存じます。
 近年、Artificial Intelligence(AI)、ロボティクス、ナビゲーション、画像解析やExtended Reality(XR)をはじめとするデジタル技術は急速な進歩を遂げ、CAOSは新たな時代に突入しています。術前計画、術中支援、術前後データ解析、教育支援に至るまで、その進化はもはや“補助”という言葉を超えた段階に入ったように感じられます。そしてその進化の先にある「Singularity(技術的特異点)」という言葉を、我々の医療分野でもよく耳にするようになってまいりましたが、今学会のテーマを「Beyond Singularity:変わるもの、変えるべきでないもの」とさせていただきました。私自身はスマートフォンですら十分に使いこなせずにこれら先端技術に置き去りにされ、はるか昔に特異点を超えられてしまった存在です。しかしながら早すぎる進化の中でも適応していくべき「変わるもの」と、整形外科医療の中で普遍的な「変えるべきでない本質」があると思っています。
 変わるものとしては、経験への過度な依存、精度のばらつき、個人に依存した技術継承、ビッグデータの解析・情報やそのフィードバックなどが挙げられそうですが、その一方で、変えるべきでないものとして、新たな手術を生み出す創造力、手術室でしか共有できない経験、不測の事態に対応する判断力と応用力――こうした外科医の「暗黙知」は、簡単には置き換えられない価値ではないでしょうか。これからの時代に大切なのは、人と技術の対立ではなく、互いの長所を理解して補完し合う関係であり、ひいてはそれが医療の進歩、患者利益の向上に結実することでしょう。
 今学会では、整形外科領域におけるCAOSの最新知見に加え、多様な専門家をお招きし“Beyond Singularity”の時代における我々の役割について、皆様とともに考えたいと思います。本学術集会が、CAOSの未来を語るだけでなく、「整形外科医にしかできないこと」を改めて考える場となれば幸いです。
 さらに、学術交流のみならず、岡山の豊かな食材、美味しいお酒、歴史や文化にも触れていただき、実り多い学会期間をお過ごしいただければ幸いです。多くの皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げます。