第29回日本女性医学学会ワークショップ 実行委員長　寺内　公一 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座　教授

　このたび第29回日本女性医学学会ワークショップを、5年ぶりに東京は御茶ノ水にて開催させていただくことになりました。まずはこの5年間、COVID-19のもたらす様々な不確定要素と格闘しながら、女性医学について学ぶ貴重な機会の灯を絶やすことなく燃やし続けられたワークショップ実行委員長の先生方、困難な開催を様々な方向からご支援下すった関係者の皆様、そしてオンサイト・オンラインを問わず熱心に参加された会員の先生方に、心から敬意を表したいと思います。

　かくして人類はパンデミックを乗り越え、新たな叡智を獲得しながら次のステップを踏み出そうとしています。このポストコロナの状況にあって本ワークショップの果たす役割とは何かを考え、テーマを「ウィメンズヘルスケアの実践知　Phronesis in Women’s Healthcare」といたしました。”Phronesis”とはプラトンとアリストテレスによって定義された古代ギリシア哲学の概念で、「実践的な行動につながる知」を意味しています。日本女性医学学会の持つ二本の柱であるワークショップと学術集会とを較べる時、「ワークショップ」には知識のための知識ではない、より実践的な知を獲得するための場であることが期待されているのではないかと考えました。オンサイト参加がようやく自由になりつつある今、少しでもオンライン参加を上回る体験をしていただけるように、従来型の講義にロウルプレイなどを織り込み、月並みではありますが、「明日からの臨床に役立つ知」を身につける場となることを願っております。

　3月3日は上巳（桃の節句）、二十四節気では雨水にあたります。まだ少々肌寒いですが、皆様の健康をお祈りしつつ、御茶ノ水へのお越しをお待ちしております。