第39回学術集会開催によせて
第39回日本小児心身医学会 学術集会
会長 牛田 美幸
国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター 児童心療内科 |
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2021年度の学術大会を主催させていただくこととなりました。四国では1999年に二宮恒夫先生が主催された徳島大会以来22年ぶり2回目、香川県では初めてとなります。このような機会をいただきましたこと、たいへん光栄に存じます。
当初、私たちは香川県高松市で現地開催をすべく準備を進めておりました。しかし、COVID-19変異株の出現とまん延、相次いで発令される緊急事態宣言…という状況から、現地開催はむずかしいと判断し、Web開催(ライブ配信+オンデマンド配信)へと切り替えました。みなさまを香川にお招きできないことをたいへん残念に思います。けれども、困難な時代であるからこそ生まれるものもございます。Web開催となったことを活かし、新しいものを作っていきたいと思います。
さて、子どものこころの診療には、急増する発達障害、子どものうつ、自殺、いじめ、子ども虐待、不登校、ひきこもり、家庭内暴力 … と課題が山積しております。このような問題を扱うには、物質や細胞など「心を持たない者同士で起きる現象」の理解だけでは十分ではなく、「心を持つ者同士だからこそ起きる現象」を捉え、理解し、扱うことが必要です。「心を持つ者同士だからこそ起きる現象」 … その最たるものが、“親と子の関係性”ではないでしょうか。そこで、私たちは今回のテーマを「“親と子の関係性”と子どものこころとからだ」といたしました。古くて新しいこのテーマに臨んで参ります。
さて、今回の大会では、機能不全家族やアダルトチルドレン、共依存などの概念を広められた精神科医の斎藤 学先生、動物のことばと情緒の研究から「ヒトの心はどのように生まれたのか」を研究されている東京大学総合文化研究科の岡ノ谷一夫先生、疫学調査から子ども時代の被養育体験と生涯の健康との関連について研究されている九州大学病院心療内科の細井昌子先生を始め、各分野からすばらしい先生方をお招きすることができました。日本を代表するこのような先生方から、Webでじっくりお話しを伺える、またとない機会でございます。みなさま、ぜひ、ご参集ください。多くの先生方のご参加をお待ちしております。