第9回日本筋学会学術集会 大会長 松村 剛 大阪刀根山医療センター 特命副院長・臨床研究部長 |
このたび、2023年8月18日(金)から19日(土)に大阪府の千里ライフサイエンスセンターで開催される第9回日本筋学会学術集会を担当させていただくことになりました。日本筋学会は「我が国における骨格筋生物学研究に関する統一的な組織を構築し、次世代の研究者を積極的に支援する場を設立すること」を目的に、2015年に設立されました。コロナ禍においても、2021年12月11日から12日には京都大学で萩原正敏教授のもと、2022年8月5日から6日には東京大学で戸田達史教授のもとで学術集会が開催され、多数の研究者が成果を報告するなど、活発な学術的交流が維持されてきました。
骨格筋は人体の4割程度を占める最大の臓器で、筋ジストロフィーや免疫性筋疾患などの病気だけで無く、ロコモティブシンドロームやサルコペニアなど高齢化社会における健康維持の面でも重要な臓器で、筋研究が果たす役割はますます大きくなっています。本邦においては、筋収縮メカニズムの解明に寄与された江橋節郎先生や、クレアチンキナーゼ異常を発見された杉田秀夫先生をはじめとして、多くの優れた基礎研究が発信され、世界をリードしてきました。近年、その成果は臨床に及びつつあり、本邦で開発されたデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬であるビルテプソが2020年に保険承認を得るなど、治療薬の開発も盛んになっています。
臨床面でも、本邦では専門病棟を核とした多職種による集学的ケアが行われ、世界にも類を見ない生命予後の改善を得るなど高い成果を挙げてきました。これからのトランスレーショナルリサーチの時代で優れた成果を築くには、基礎研究者、製薬企業、臨床医、コメディカル、福祉職、当事者など全ての関係者が協働していくことが重要です。これを促進する目的で、今回日本筋学会と筋ジストロフィー医療研究会が、各々のテーマを「みんなの叡智で拓く筋学の未来」、「みんなの叡智で拓く筋ジストロフィー医療の未来」とさだめ、合同学術集会を開催することとしました。本学術集会による交流が、本邦における筋学・筋疾患医療のさらなる発展に寄与することを祈念します。
最後に、本学術集会の開催と運営には、多くの先生、研究機関・医療機関、製薬・医療機器企業、当事者の方々からご支援・ご指導をいただきました。心より感謝申し上げ挨拶とさせていただきます。
第10回筋ジストロフィー医療研究会 大会長 久留 聡 国立病院機構 鈴鹿病院 院長 |