第74回日本農村医学会学術総会
学会長 西脇 伸二
JA岐阜厚生連 岐阜・西濃医療センター西濃厚生病院 病院長
第74回日本農村医学会学術総会を担当させていただきます岐阜・西濃医療センター西濃厚生病院の西脇伸二です。このような機会を与えて頂きました会員の皆様に改めて御礼を申し上げます。岐阜県での開催は中濃厚生病院の田中孜先生が学会長をされて以来14年ぶり4度目となります。
昭和27年より毎年開催されてきた学術総会は、全国の厚生連病院や地域医療を支える大学病院、研究機関からそれぞれの研究成果、臨床経験などを発表し議論する貴重な機会となっております。本学術総会の参加者は医師、看護師、医療技術者、事務員など多職種からなっており、多彩な発表内容に対して職種間の垣根を越えて話し合える点が大きなメリットであると考えております。そのテーマや発表内容もそれぞれの時代における社会や医療の状況に応じて変遷してきました。
今回のテーマは、“2040年に向けて地域医療のあり方を考える―美濃からの発信―”といたしました。学術総会が開催される2025年は地域医療構想も新たな転換点を迎えます。2025年を想定した構想が終了し、75歳以上の高齢者人口がピークを迎え、生産人口が急激に減少する2040年を見据えた地域医療構想がスタートします。厚生連病院は農村地域に立地する病院が多く、都市部に比べ人口減少、少子高齢化が著しい地域で医療を提供しております。2040年に向けて私たちはどのように医療サービスを展開していけばよいのでしょうか。診療報酬の改訂によりますます経営が困難となっている状況で、各地域の医療を保ちながら厚生連病院が生き残っていくにはどうすればよいのでしょうか。この学術総会では未来の地域医療を担保するための課題や取り組みについて議論を深める機会にしたいと考えております。学術総会のテーマに関連した特別講演やシンポジウムの他、学会で取り組んでいる特別研究研究プロジェクトの成果を一般農業従事者にも公開する講座を企画しております。
今回の会場は大垣市のソフトピアジャパンと大垣市情報工房となります。水の都と称される大垣市へは、岐阜駅、名古屋駅からJR東海道線によるアクセスも良好です。天下分け目の決戦である関ケ原の戦いにおいて、西軍石田光成が拠点とした大垣城があります。また江戸時代には松尾芭蕉の奥の細道の結びの地としても知られており、歴史と文化が体感できる街です。文化講演には関ケ原古戦場歴史資料館館長の小和田哲夫氏を予定しております。数々の大河ドラマの歴史考証をされており、戦国時代にタイムスリップするようなお話が拝聴できるものと期待しております。2025年10月23日、24日の2日間、大垣で皆様とお会いできることを楽しみにしております。