第85回日本臨床外科学会総会
演題募集(公募)
採択演題一覧
演題登録の際にご入力いただきました筆頭演者のメールアドレスに、採択のご案内をお送りしました。
演題番号、発表セッション等は下記よりご確認ください。
(10月5日更新)プログラム編成の都合上、一部、演題番号等が変更となっております。
 最新の演題番号、発表セッション等は下記よりご確認ください。


演題募集期間
演題募集を終了いたしました。
多数のご応募をいただきありがとうございました。
演題募集期間を再延長いたしました。
2023年4月5日(水)9:00~6月7日(水) 7月3日(月)正午
                     ※再延長はございません
応募資格
日本国内の施設に所属している方については、共同演者を含む全員が本学会会員であることが必要です。
非会員の方は演題登録時までに必ず日本臨床外科学会へ入会してください。
ただし、「研修医セッション」の筆頭演者は必ずしも本学会員に限りません。
※共同演者は本学会会員であることが必要です。
 入会および会費納入に必要な書類は日本臨床外科学会事務局にお問い合わせください。
 オンラインでの入会登録は以下のボタンから行ってください。
(入会申請中のときは「会員番号」欄に99と入力してください)
【お問い合わせ先】
 日本臨床外科学会事務局
 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-6-9 ロックフィールドビル8階
 TEL:03-3262-1555 FAX:03-3221-0390
応募方法
演題登録はホームページからのオンライン登録による応募のみとなります。
事前に登録システム利用上の注意をご確認ください。
UMINオンライン演題登録システムでは、【Firefox】【Google Chrome】【Internet Explorer】【Microsoft Edge】【Safari】以外のブラウザで演題登録はできません。
それ以外のブラウザでは、ご利用にならないよう、お願いいたします。
※各ブラウザは、最新バージョンの使用を前提としております。
募集カテゴリー
募集カテゴリーについては下記をご参照ください。
※趣旨をクリックすると詳細をご覧いただけます。
総会特別企画(公募・一部指定)
1.ロボット支援手術がもたらす医療の未来

AIを活用した新しい手術ロボットの開発が行われていると言われている。また、様々な領域、心臓病のカテーテル治療用、眼科手術用、脊髄手術用、脳外科手術用、整形外科手術用、人工関節手術用など特定の疾患に特化した新たな手術ロボットも次々と開発されている。医療に貢献できる手術ロボットの未来を語っていただきたい。

2.ロボット時代における次世代外科医教育のあり方

外科分野でもロボット支援下手術の保険適応が広がり、術者基準も緩和されてきている。現況では腹腔鏡下や胸腔鏡下手術をある程度修練した上でロボット支援下手術を開始することがほとんどのようであるが、既にロボット支援下手術が一般化している泌尿器科分野では初めての内視鏡下手術がロボット支援下ということも少なくない。このような状況を踏まえて、今後、内視鏡外科を目指す次世代の外科医教育について討論を期待したい。

3.外科医のライフプラン ―研修医の皆さんに伝えること、研修医が思うこと―

外科医療を担うことは、医師にとって誇りであり、輝ける人生をきずくことのできる場として位置付けることができる。現在の外科医は、手術のみならず、インフォームドコンセント、書類作成、病棟業務、外来、救急対応等の様々な業務に携わっている。これら手術以外の業務が極めて多く、質の高い手術をこれまでの様に行いながら、労働時間を短縮するためには多くの課題がある。欧米のみならず海外では、チーム医療により他の医療職種が多くの業務を担当している。克服すべき課題が山積みの中、来春から法の下での働き方が変わる。外科を目指す研修医に伝えるべき想い、研修医の想いを語っていただく場としたい。

4.創意と継承 ―若手医師に伝えたいこと―

様々な創意・工夫が現在の外科医療を構築していることに異論はないと思われる。先達から、若手医師に伝えるべき外科診療における考え方、習慣、避けるべきことなどをお示しいただきたい。

5.アスリートとしての外科医 ―自己管理と研鑚―

アスリートと外科医には長期間の自己修養や研鑚、トレーニング、食事、睡眠、適切な時間の使い方、冷静な心理状態など求められているものが共通している。アスリートから学ぶ優れた外科医の自己研鑚や日々のあり方について議論いただきたい。

6.安全管理の工夫と徹底

不確実性と人的要素が大きい医療における安全を確立し、質の高いミスのない医療を継続していくことは簡単ではない。医療事故や院内感染を防止することは、病院にとって最優先課題である。外科診療における優れた医療安全の取り組みと継続、システム作り、そして求められる人材育成についてお示しいただきたい。

7.プレーヤー外科医からマネジャー外科医への変容を成功に導くには何が必要か?

プロスポーツの世界では名選手、必ずしも名監督にあらずといった事例が時に見受けられる。われわれの世界でも執刀医としてはまさに名プレーヤーであった外科医が、助手として後進を指導したり、外科診療さらには病院運営をマネジメントするようになるとプレーヤー時代のような輝きを発することができない事例がやはり見受けられる。本セッションでは外科医がプレーヤーからマネジャーへ変容するために必要な資質と経験について討論していただきたい。

8.外科医の働き方改革(B,C水準をめぐって)

2024年度から始まる医師の時間外労働時間規制に対する総合的な取り組みや独自の工夫など、主にA水準を目指すための個々の病院の取り組みを中心に議論していただきたい。取り組むべき様々な項目の中でも、「タスク・シフト/シェア」の重要性は広く認識されてきた。チーム医療の推進と質の高い医療の提供に直結する「タスク・シフト/シェア」において、他の医療専門職の果たす役割は非常に大きい。間近に迫った本改革に対する準備状況、課題をディスカッションしていただきたい。また、働き方改革においてB水準にそぐわない事情を抱える施設も少なくない。技術習得のための特例水準(C水準)の現状と将来構想、自己研鑚のあり方、研修のための時間外労働の必要性や削減計画、効率的な自己研鑚等も忌憚なく議論していただきたい。

9.外科におけるダイバーシティ・マネジメントとその成果

組織マネジメントの分野では、国籍、性別、年齢など表層的ダイバーシティや価値観、役職や階級などの深層的ダイバーシティにこだわらず様々な人材を登用し多様な働き方を受容する組織風土の構築を目指す、ダイバーシティ・マネジメントという概念がある。ここでは、それぞれの施設や立場、専門領域からみたダイバーシティの取り組み、キャリア形成の可能性や課題を、将来的な展望を交え、多角的な意見を述べていただきたい。

10.男性外科医のワークライフバランスを考える

従来、日本では「男は仕事、女は家庭」という固定的性別役割分担意識が根強く、女性の社会進出を阻み、男性の生き方を画一的なものにしてきた。しかし近年、共働き世帯が増え、仕事も家事育児もどちらも充実させたいと希望する男性が増加している。さらに、一億総活躍社会実現に向けて国主導で環境整備が進んでおり、働き方改革関連法や男性の育児休業の取得を促進するための制度「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されている。外科においても例外ではなく、2024 年施行される医師の働き方改革に向けて意識改革が必要である。本セッションでは、男性外科医のワークライフバランスの方策について、男女の立場から討論していただきたい。

11.魅力的な外科であるために必要な施策を考える

深刻な外科医不足を打開するために各学会は様々な取り組みを行ってきた。しかし、改善に至らず、2022 年 4 月に日本外科学会は「外科医希望者の伸び悩みについての再考」を発表した。今後、医学生・研修医に魅力的な外科であるために、何が必要であろうか。本セッションでは、働き方改革、男女共同参画、ダイバーシティ&インクルージョン、医学教育などの様々な観点から、これからの外科に必要な施策を論じていただきたい。特に若手外科医のアイデアに期待する。

12.女性外科医の働き方改革における課題解決に向けて

欧米では労働環境を整えることで女性外科医が増加し、様々な分野で重要な役割を果たしている国も少なくない。女性医師数は全体として増加傾向が続き、昨年の調査では22.8%となっている。しかしながら診療科の偏在は顕著で、外科医微増にとどまる。働き方改革を契機として増加し、活躍できる環境を整備するために必要な方策を議論していただきたい。

13.COVID-19 ―パンデミックを経験して後世に伝えること―

2019年末から始まったCOVID-19パンデミックは、社会、医療、経済に甚大な困難をもたらした。病院においては医療体制の継続、病院全体でCOVID-19患者を受け入れるための組織風土の醸成、職員のメンタルヘルス、診療抑制下での安全な医療の担保など、多くの課題を解決する必要がある。未来の新たなパンデミックを見据えて、様々な観点から後世の外科医に伝えておくべき経験値、提言を発表していただきたい。

14.手術に求められる能力を身につけるための外科教育とは?

外科医は、個々の患者における特殊性を術前に評価し、自身の習得した知識と技能を当てはめ手術をシミュレーションし、プランBに備えた上で手術に臨む。実際の手術にあたっては、術野に展開されている視覚情報や知覚情報を認識・識別する知的技能が要求され、それに基づいて手技を選択、採用する認知的方略の習得が求められる。その上で、手技を実行する運動技能が要求される。これらを習得する上で、従来、先達の手術を見て学ぶ認知的徒弟制度の学習方略が用いられてきた。本セッションでは、学習者の意欲を高め、効率的、効果的に外科医としての技能を習得させるうえでの学習支援の方略について、実践事例を示しながら紹介していただきたい。

15.地域医療 ―未来への課題―

これからの10年の近未来では、人口減少と高齢社会に拍車がかかることが予測される。これまで田舎の課題であった困難が、都市部にも及ぶこととなる。特に、高齢者医療・介護はサービスが追い付かなくなる。人口減少で税収も低下することから、公的援助(公助)は減少、企業による地域貢献もじり貧となり、医療従事者の仕事も大きく変容することになるであろう。これからは、地域における自助、共助の仕組みの確立が必須となってくる。これらの近未来の課題と解決法の模索について議論していただきたい。

16.ゲノム医療と外科医の関わり

2019年7月から包括的がんゲノムプロファイリング検査(CGP)が、保険適用となった。しかしながらCGPは、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院でのみ実施可能であり、市中病院にとっては、まだまだ敷居は高い。また、CGPではないコンパニオン診断薬の飛躍も著しく、これらがんゲノム情報を適切な時期に取得し、適切に患者に提供、治療戦略の構築を行う必要がある。これらゲノム情報は外科領域においても、遺伝性腫瘍の診断や、周術期補助療法・進行がんにおける薬物療法の選択、有害事象の予測などの重要な情報となる。本セッションでは、がんゲノム解析をどのように有益に活用し外科治療に応用しているか様々な施設での取り組みを議論していただきたい。

17.プレシジョン・メディシン ―新しい診断と治療―

プレシジョン・メディシンは、元々、がん組織の遺伝子変異について次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析し、個々の患者に最適な治療を選択することを指すが、近年では、血液だけでなく、病理画像やCT画像からがん組織の遺伝子変異を推測する人工知能(AI)の応用も行われてきている。これらゲノム情報や画像情報解釈の躍進により、外科医療も変わりつつある。本セッションでは、ゲノム情報と画像・病理診断との統合や薬剤効果予測、予後予測を中心に臨床外科に重要なプレシジョン・メディシンの役割、その応用など、現状と今後の展望を示していただきたい。

18.デジタル時代における理想の手術記録はいかにあるべきか

外科医にとっての手術記録は単なる診療録としての役割だけでなく、自分の手術を振り返り反省し、次の手術に向けての治療戦略を考察するための重要な財産としての側面もある。そのためには文章だけでなく画像さらには自分自身によるスケッチが大きな役割を果たしている。近年はパソコンやタブレット端末を用いて視覚に訴える手術記録を作成する外科医も増えている。このようなデジタル時代において、理想の手術記録とはどのようなものかを討論していただきたい。

19.Acute care surgeonの育成とSpecialty確立における問題点

Acute Care Surgeryは、外傷外科、救急外科、外科的集中治療の3つの領域を担当するアメリカ発の比較的新しい診療概念であり、日本においてもその概念はかなり広まっており、認定医制度も導入されているが、その数はいまだ190名程度である。現在Acute care surgeonとして働いている医師のみならず、今後Acute care surgeonを目指す若手医師の方々に、その研修・育成の現況と問題点、IdentityやSpecialtyを確立するための課題などについて論じていただきたい。

20.チーム医療で構築する移植医療の進歩と課題

1997年10月に「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)が施行され、先人の弛まぬ努力により様々な臓器の移植医療が定着してきた。一方で、脳死ドナーの不足、小児に対する移植医療、ドナー提供施設やコーディネーター育成等様々な課題も山積している。これまでの実績・進歩を踏まえた上で、チーム医療の観点から今後の展望と課題を議論していただきたい。

シンポジウム(公募・一部指定)
1.食道胃接合部がんに対する下縦隔郭清および再建術の成績

下縦隔郭清の手技は、やはり今でも注目すべき課題である。短期入院のみならず、腫瘍学的予後の成績をもった施設も多いと思われるので、経裂孔的、胸腔鏡的な観点から議論していただきたい。

2.高齢者に対する胃がん治療の現状

高齢化により縮小手術の意義は高くなっており、噴門切除などの意義も高いと思われる。一方で縮小手術の一つである幽門保存胃切除は75歳までに推奨されている。また、高齢者に対して、進行胃がんの郭清においてD2未満の郭清に手控えてもOSに影響はないとも言われている。各施設での様々な縮小手術について議論していただきたい。

3.胃がん手術の継承と教育

胃切除における課題として、胃がん切除症例の減少、ロボット保険点数の増加によるロボット適応の増加、外科若手医師の減少、これらの背景でどのように教育を行っていくかが喫緊であると思われる。PAND(傍大動脈郭清)なども見直される動きがある中、開腹手術で行ってきた手技を、最初から若手にロボットや腹腔鏡で教育していくことも考えられる。開腹手術の強みを含めた様々な観点から、胃がん手術をどのように継承していくか、教育に関して議論していただきたい。

4.ナビゲーション手術の進歩(臓器横断)

ICGを用いたナビゲーション手術は様々な臓器で試みられている。消化器領域では保険診療上、血流評価が唯一行える現状であるが、臨床研究のもとで、粘膜下局注によるマーキングや、リンパ流を可視化したナビゲーション下郭清、センチネルリンパ節生検手術など、研究として進めている施設も多い。また、AIによる臓器や剥離層の認識を利用したナビゲーション手術も近年開発されている。それぞれの施設におけるナビゲーション手術を議論していただきたい。

5.ステージIV 大腸がんに対する治療戦略

近年、分子標的薬の併用による化学療法、放射線療法さらには免疫療法などの進歩により、切除不能な進行がん症例に対して集学的治療の後に遺残のない治癒切除が可能と判断されて施行されるConversion surgeryの報告が増加してきている。しかし対象症例の選択や手術のタイミングの問題、術後合併症のリスクや予後向上に寄与するかなど不明な点も多い。本セッションでは、遠隔転移を含めた切除不能大腸がんに対するConversion surgeryの現状、治療成績、今後の展望について討論していただきたい。

6.直腸がんに対する側方郭清の適応

大腸がん治療ガイドラインにおける側方郭清の適応基準は「腫瘍下縁が膜反転部より肛門側にあり、かつ壁深達度がT3以深の症例」とされている。側方郭清により局所制御は得られるが予後延長には必ずしもつながらず、手術時間の延長や術後の機能障害が課題である。また近年得られた知見から、特定の症例に対して側方郭清を省略している施設も存在する。各施設における現在の側方郭清の適応および成績をご提示いただき、最適な治療について討議していただきたい。

7.肛門疾患に対する手術 ―私たちの創意と工夫―

肛門疾患(痔核、痔瘻、裂肛)に対して、結紮切除術(LE)、ALTA療法、ALTA併用療法、痔核結紮療法、PPH、ACL、Mu-RALなど多岐にわたる術式が行われている現状がある。各施設で取り組んでいる痔核手術をご提示いただき、手術術式に対する創意・工夫を中心に治療成績、有用性や課題などについて報告していただきたい。

8.進行肝細胞がんに対する集学的治療戦略

国内・海外において肝がん治療は進化しているものの、その多くは早期肝がんに対するもので、進行肝細胞がんに対する集学的治療の進展は乏しい。一般に、肝がん細胞の抗がん剤感受性が低いこと、肝炎・肝硬変などの細胞・組織・機能障害を合併していることが阻害要因となっている。現在の課題、今後の展望について議論していただきたい。

9.上部消化管外科のあり方 ―疾患体系の変化に対応するために―

わが国のお家芸ともいえる胃がん手術症例は、下部領域を中心に減少傾向にある。このため今後の胃がんは上部、食道胃接合部領域が中心となり、腹部操作の技術だけでなく食道がんと同様の胸部操作の技術も必須となるかもしれない。このような疾患体系の変化の中、上部消化管外科がいかにあるべきかを、食道と胃を同じチームで診療している立場と別々のチームで診療している立場から意見を述べていただき、討論をしていただきたい。

10.次世代の小児外科医の育成

少子化の中で施設の集約化が図られているが、小児医療に不可欠である小児外科医のリクルート、育成存在は喫緊の課題である。各施設に配置された小児外科医が十分な診療経験を積むことを担保するのは容易ではない。遠隔医療支援システム、シミュレーション教育システム、メンター制度などの構築、確立が求められている。小児外科医の育成に関する課題と展望を議論していただきたい。

11.乳腺領域における地域医療体制の整備

大都市圏以外の乳腺外科医が減少傾向を示し、新たな乳腺専門医の育成が喫緊の課題となっている。また、様々な地域においても乳がん診療の均てん化とは程遠い現状がある。本セッションでは、第一線で活躍する乳腺外科医が地域で協力、役割分担を積極的に行うことで課題を克服し、新しい潮流を生む活動をご紹介いただきたい。

12.甲状腺がんに対する手術の進歩

進行甲状腺がんに対する有効な薬物治療はなかったが、2014年以降に計3剤の分子標的薬が適応された。これにより進行甲状腺がん患者の生命予後を延長し、腫瘍に起因した症状の緩和が可能となった。しかしながら、いずれの薬剤でも高頻度に副作用が生じ、また、高額な医療費の負担が長期におよぶ。分子標的薬剤と外科手術、あるいは放射線治療を組み合わせた様々な進行甲状腺がん治療の課題と今後の展望を議論していただきたい。

13.早期肺がん外科治療の現在 ―積極的縮小手術はどう変わったか?―
JCOG0802/WJOG4607L試験の結果から、現在、臨床病期ⅠA1-2期の充実成分最大径/腫瘍最大径比が0.5を超える肺野末梢非小細胞肺癌に対して、区域切除または肺葉切除が推奨されている。しかしながら、上記試験結果は一元的ではなく、議論されるべき点が含まれている。現在、このエビデンスをどのように日常臨床に取り入れているか、またどのように活かしていくべきかについて発表・討論していただきたい。(当初の内容を一部変更しております。2023.7.10)
14.チームで取り組む下肢血流障害に対する血行再建と周術期管理

コロナ禍において高齢者の足病変は放置され進行・重症化しており、Foot Pandemicとなりつつある。また、高齢者は複数の疾患を抱えていることが多く、frailtyも問題になるため、多職種によるチームで情報を共有し包括的に介入する必要性がある。本セッションにおいては、フットケアのノウハウを血管外科・形成外科・理学療法士・看護師などの多診療科・多職種の演者で最近のデータをupdateしながら、血管再建と周術期管理について討議していただきたい。

15.術後早期回復プログラムの課題を考える

術後合併症の減少、経口摂取の早期再開、ひいては術後在院日数の短縮を目指して、ERASやわが国のESSENSEなどの術後回復促進プログラムがわが国でも普及し、その有用性が示されている。しかし近年、回復促進という本来のアウトカムを忘れて、ERAS推奨事項の遵守に固執した周術期管理も散見される。特に消化器外科では、高齢者の術後早期経口摂取再開や不十分な栄養摂取、予後に影響するような術後早期の体重減少、腸管術前処置の省略などの問題点が指摘されている。術後回復促進プログラムの負の側面ともいえる課題を今こそ考え、原因の考察と求められる対策を論じていただきたい。

16.外科手術における形成外科の役割

外科手術に関わる形成外科が行う再建手術は多岐にわたる。食道再建では、遊離空腸をはじめとし、胃管や結腸へのスーパーチャージや咽頭・食道瘻への二次再建などに対して形成外科的再建手術が行われる。胸骨骨髄炎では、遷延する感染巣の治療に難渋することがしばしば見受けられるが、血流の豊富な筋弁を充填することで速やかな感染の制御と創傷治癒を獲得できる。骨盤内臓器全摘後の会陰部再建では、豊富な組織量を持った皮弁を用いて再建することで創閉鎖が可能となる。胸・腹壁再建においては、人工物を使用しないで、皮弁を使用した自家組織再建が可能である。肝動脈再建では、肝門部胆管がんなどで合併切除された肝動脈を顕微鏡下に吻合することができる。外科手術における各種再建手術について、形成外科の立場から治療成績や問題点を踏まえその役割についてご討議いただきたい。

ビデオシンポジウム(公募・一部指定)
1.上部消化管再建術における逆流防止機能の構築

胃体上部の早期胃がんや接合部がんに対して、噴門側胃切除術が行われる機会は機能温存の観点から多くなっている。プロトンポンプ・インヒビターの登場後も、その再建法に食道胃逆流防止機能を付加することの必要性がある。そのためには、噴門側胃切除(食道切離、噴門部剥離)を行った際に生じる逆流防止機構の破綻を理解し、食道胃逆流防止機能を可能なかぎり再構築することが肝要であり、実際の手技を提示していただきたい。

2.直腸がんに対するロボット支援手術の現状と未来

2018年4月に本邦でロボット支援下直腸手術が保険適用となって以降、多くの施設で新規に導入され、多数の症例経験をもつ施設も増えてきている。ロボット支援手術は従来の腹腔鏡下手術と比較して多くの利点を備えているが、その有効性は未だ明らかではない。本セッションでは、直腸がんに対するロボット支援手術に関する術式の工夫や、新規技術導入例、共有すべきpitfallなど、未来を見据えた現状と将来の展望についてご発表いただきたい。

3.IBDに対する最新の手術手技

IBDに対する手術は、比較的多くの施設で行われるようになりつつあり、最近では腹腔鏡手術など低侵襲手術の導入も盛んに行われている。IBDに対する標準手術の手技の実際をご提示いただき、低侵襲手術の利点や現状の課題、将来への発展についても述べていただきたい。

4.鼠径部ヘルニアの手術手技

鼠径部ヘルニア治療では、従来の組織縫合法から tension free 術式のメッシュ法が普及し現在に至っている。しかしながら、鼠径部ヘルニアの術式は多種多様であり、アプローチ法(鼠径部切開法、腹腔鏡下手術)やメッシュの種類なども施設や術者により異なる。本セッションでは、各施設で施行されている鼠径部ヘルニアの術式選択基準や手技、治療成績を示していただきたい。

5.ロボット支援下ヘルニア修復術の現状と問題点

鼠径ヘルニア修復術は、本邦では年間約15万件が実施され、近年TAPPやTEPなどの鏡視下アプローチが増加しているが、さらにロボット支援下手術が米国を中心に急激に増加している。本邦では保険収載前であるが、すでに自費診療で実施、あるいは導入を検討している施設が増加している。しかしコスト面や手術時間など、解決すべき問題点も多い。各施設でのロボット支援下鼠径ヘルニア修復術の導入に向けての取り組みと、腹腔鏡下ヘルニア手術と比較しての利点や問題点などを含め、今後の展開について討論していただきたい。

6.呼吸器外科ロボット支援手術 ―今後の展望―

ロボット支援手術は、新たな手術手技として現在多くの施設に導入されてきている。胸腔鏡手術との比較では、両者は安全面に関しては同等であるが、操作性やラーニングカーブでロボット支援手術が優るとの報告が多い。一方で手術のコストと手術時間には未だ懸念がある。ロボット支援手術は胸腔鏡手術の欠点を補完するものか? 本セッションでは、その長所・短所、手術の工夫などビデオ提示していただき、ロボット支援手術の未来像について討論していただきたい。

7.悪性胸膜中皮腫に対する手術

悪性胸膜中皮腫(MPM)は予後不良な疾患として知られているが、近年は手術を含む集学的治療により治療成績の改善が見られる。肉眼的完全切除(MCR)を得るために、胸膜・肺・横隔膜・心膜を一塊として切除する胸膜肺全摘術(EPP)と、肺を温存し壁側胸膜と臓側胸膜を切除する胸膜切除剥皮術(P/D)が実施されている。 両術式の実際は病院や執刀医によって異なり、様々な手技が行われているようである。本ビデオシンポジウムでは、MPMに対するP/DまたはEPPの手術手技の手順を解説後、手術の実際をビデオで紹介していただき議論を深めたい。

基調講演1:
 (録画)
Prof. Joseph Friedberg
(Temple University - Fox Chase Cancer Center)
基調講演2:
 (録画)
Prof. Marc de Perrot
(Toronto General Hospital and Princess Margaret Hospital, University of Toronto)
パネルディスカッション(公募・一部指定)
1.鏡視下食道がん手術における反回神経麻痺防止の工夫

食道がん根治術において、本邦では鏡視下手術がその低侵襲性、精緻性から半数を超えて実施されているが、上縦隔廓清に伴う反回神経麻痺は皆無ではない。ここでは鏡視下食道がん手術における反回神経麻痺の実情と、それを回避するための工夫を提示していただきたい。

2.食道がんオリゴ転移・再発に対する治療戦略

これまで、遠隔転移を伴う食道がんあるいは食道がん術後遠隔転移再発症例の予後は極めて不良であり、根治に持ち込むことは困難であると考えられていた。しかしながら近年、食道がんでも他のがん腫同様、少数のオリゴ転移・再発症例の中に、全身および局所療法を組み合わせることにより長期予後が得られる症例が散見されるようになってきている。こういった食道がんオリゴ転移・再発に対する治療法の工夫をご提示いただき、その戦略を討論していただきたい。

3.経縦隔食道切除術の意義

経縦隔食道切除術は、体位変換の必要がなく、両肺換気下に根治手術を施行できる点で優れている。一方で、剥離、郭清範囲に近接する重要臓器を損傷することなく限られた手術野で安全な手術を遂行するためには様々な手技の習得が求められる。本セッションでは、現在行われている工夫、技術習得のためのシステムなどを議論していただきたい。

4.上部進行胃がんに対する低侵襲手術

進行胃がんに対する幽門側胃切除における、開腹手術に対する腹腔鏡手術の非劣勢がJLSSG0901で示された。今後は上部進行胃がんに対する腹腔鏡(ロボット含む)手術が検証されることになり、その一つとして腹腔鏡・ロボットによる脾門郭清のスタディ(JCOG1809)も行われている。Stage Iに対する食道空腸吻合の安全性はJCOG1401で証明されたものの、進行がんに対する腹腔鏡下胃全摘の食道空腸吻合や合併症の評価は様々である。近年ではロボット手術も普及してきており、上部進行胃がんにも適応されていることが多いと思われるが、各施設での上部進行胃がんに対する低侵襲手術の現状と成績を提示していただき、その評価を議論していただきたい。

5.免疫チェックポイント阻害剤の登場で胃がんの治療戦略は変貌したか?

昨年CheckMate649 試験およびATTRACTION-4 試験の結果、HER2陰性の切除不能進行・再発胃がんに対する一次治療における免疫チェックポイント阻害剤が保険収載され、多くの施設で導入されている。著効しCRが得られたり、conversion surgeryが可能となった症例、あるいは逆に無効であったりirAEに悩まされた症例など、それぞれの施設における治療成績について論じていただきたい。

6.胃がん腹膜播種症例に対する治療方針

胃がん腹膜播種が疑われる症例に対して、どのような例に対して胃切除を目指すのか。審査腹腔鏡の適応や、術中細胞診の可否と診断、胃切除を行う場合の郭清範囲設定や術後の薬物療法導入のタイミングやレジメン選択について、各施設の方針を進行度別に論じていただきたい。

7.大腸手術において縫合不全を起こさない工夫

大腸手術における術後縫合不全を防ぐため、術前の食事・栄養管理や術前腸管プレパレーションの工夫、また手術では、ICG蛍光法を用いた血流評価、吻合器材の選択・使用方法など、様々な取り組みが行われている。近年は、開腹、腹腔鏡下、ロボット支援下手術、TaTMEと手術アプローチも様々で、縫合不全対策も多様化している。本セッションでは、大腸手術における術後縫合不全を回避するための工夫と治療成績について議論していただきたい。

8.下部直腸がん術後機能障害に対する対応と予防策

近年、外科技術や機器の向上に伴い直腸がん手術の肛門温存率は向上しているが、狭い骨盤内にある直腸を自律神経や肛門機能を温存させながらTMEの完遂とCRMを確保することが要求されるため、術後の排便機能障害はいまだに頻発する。本セッションでは、低位前方切除術や括約筋間直腸切除術における各施設の治療成績をご提示いただき、術後機能障害予防に関する手術手技の工夫や機能障害の対処法など、根治性と機能温存の両立に向けた取り組みについて討議していただきたい。

9.大腸がん多発肝転移に対する最適な集学的治療と手術のタイミング

大腸がん多発肝転移の治療成績は、化学療法の進歩と肝切除技術の発展によって向上した。しかしながら、分子標的薬を含めた最適な化学療法レジメン、補助的な周術期化学療法の是非、がん遺伝子変異に合わせた診療方針の選択や高度進行症例に対する手術タイミングなど、解決すべき臨床的問題点が依然存在する。大腸がん多発肝転移に対する肝切除を主体とした集学的治療と成績をご提示いただき、臨床的問題点を議論していただきたい。

10.肝門部領域胆管がんにおける手術限界の克服と安全性確保

肝門部領域胆管がんの水平および垂直方向進展に対しては、肝3区域切除・肝膵同時切除や肝動脈/門脈合併切除再建によってR0切除が得られるが、その侵襲と周術期リスクは高度である。近年は化学療法や放射線治療の進歩によって、切除不能の胆道がんに対するConversion surgeryも少数ながら行われている。各施設での手術限界の克服を目指した治療計画やアプローチをご提示いただくとともに、周術期リスクを低減させる取り組みについても議論していただきたい。

11.膵体尾部腫瘍における低侵襲手術定型化と教育/指導

腹腔鏡下膵体尾部切除は、良性/低悪性度膵腫瘍への導入から始まり、保険収載によって膵がんに対するリンパ節郭清を伴う切除に適応拡大され、日常診療として定着しつつある。一方、ロボット支援下膵体尾部切除は限られた施設では本格的な導入が進んでいるが、通常診療としての提供には至っていない。本セッションでは、腹腔鏡下およびロボット支援下膵体尾部切除の定型化に向けた取り組みと工夫を提示いただくとともに、円滑な教育/指導を目指した取り組みと将来展望についても議論していただきたい。

12.R/BR膵がんに対する神経叢/リンパ節郭清と治療成績

膵がん診療ガイドラインにて、R膵がんに対しても術前化学療法が提案され、多くの施設で導入されている。術前治療が行われたR/BR膵がんに対する神経叢/リンパ節郭清に関しては、その郭清範囲やアプローチ法が施設間で異なり、また腫瘍局在も考慮されるべきである。本セッションでは、R/BR膵がんの神経叢/リンパ節郭清に対する考え方、アプローチ法と手術手技および短期/長期成績をご提示いただき、最適な神経叢/リンパ節郭清について議論していただきたい。

13.炎症性腸疾患に対する治療戦略

ここ十数年間で炎症性腸疾患に対する治療法・治療戦略は大きく変化を遂げた。抗TNF-α抗体製剤、タクロリムス等が登場し、症状改善、長期的な寛解維持が可能となってきた。その一方で、内科的治療では改善できない病態、dysplasiaや「がん」の合併、原病による症状、腸管外合併症、薬剤副作用によりQOLが損なわれている症例等、外科的治療が必要となるケースもやはり存在する。本セッションでは、炎症性腸疾患に対する外科治療の適応と手術時期、機能温存のための工夫、外科的治療成績について議論していただきたい。

14.再発鼠径部ヘルニアに対する治療法のベストチョイス

再発鼠径部ヘルニア治療では、腹腔鏡下手術のみならず鼠径部切開法でも再手術時の難易度は高いと言える。再発鼠径部ヘルニアに対しての術式は、初回手術で腹膜前修復法が施行されたか否かに応じて、鼠経部切開法または腹腔鏡下ヘルニア修復術が一般的に選択されることが多い。再発形式に応じたベストな診断や術式が存在するのか討論していただきたい。

15.直腸肛門奇形の管理

直腸肛門奇形の中でも男児の代表的な病型である直腸尿道瘻(前立腺部、球部)に対する管理、術式の工夫を中心にご討議いただく。最良と思われる治療方針、機能予後や術後QOL向上のための管理方法、術式など幅広い内容の報告を募集する。術式においては排便機能を最大限に温存するため、確実にMuscle complex、Vertical fiberの中心を通す工夫やその成績をご提示いただき、討論していただきたい。

16.乳房オンコプラスティックサージャリーの最前線

オンコプラスティックサージャリーには「根治性」と「整容性」のいずれもが求められる。さらに、温存術時も整容性を損なわない様々な工夫も求められている。また、BRCA遺伝子陽性患者に対するリスク低減切除術も行われるようになり、その重要性は益々認識されるようになった。一次二期再建時の工夫、術後疼痛マネジメントを含め実臨床における実情、成績および問題点について論議していただきたい。

17.BRCA病的バリアント保因者に対する医療提供のインフラ整備

2020年4月に遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に対するBRCA1、BRCA2という2つの遺伝子検査が保険で認められ、リスク低減乳房切除および卵巣切除が保険適用となり、未発症部位の切除が許容された。一方で乳腺領域においてはリスク低減切除が可能となる施設基準のハードルが高く、限られた施設でしか施行できないのが現状である。乳がんゲノム医療に関する問題点を明らかにし、それらを解決するための新たな取り組みや研究成果について討議し、乳がんゲノム医療の推進に向けた今後の展望を明らかにしていただきたい。

18.甲状腺がん検診の現状

人間ドックにおいて超音波検査を含めた甲状腺検診が行われるようになり、甲状腺結節病変発見の可能性が増えてきている。検診における甲状腺超音波検査は、甲状腺がんを含めた結節性病変を高感度に検出でき有用性は高い。一方、腫瘍径10mm 以下の微小乳頭がんは生涯にわたり健康に影響を及ぼさない低リスクがんが多く含まれているため、微小がんに相当する甲状腺がんすべてに精査・加療を行うことは患者にとって有害であるともいわれている。甲状腺がん検診の意義と課題について議論していただきたい。

19.呼吸器外科におけるトランスレーショナルリサーチ

近年の分子生物学の発展は、肺がんそして肺移植の基礎研究を推進し、これまでに莫大な知見が得られてきている。一方で、これらの研究成果の大半は実用化されておらず、臨床応用に必要なトランスレーショナルリサーチ(橋渡し的研究)の重要性が再認識されている。本セッションでは、呼吸器外科における最新のトランスレーショナルリサーチについて、各分野を代表する演者にご発表いただき、新しい呼吸器外科学の可能性を討論したい。

20.重症虚血肢に対する血管外科診療の進歩と課題

生活習慣病の増加と高齢化に伴って閉塞性動脈硬化症が増加し、その重症型である重症下肢虚血の頻度は確実に増加してきている。その予防策、診療技術も進歩して生命予後の改善に寄与している。本セッションでは、重症虚血肢に対する診療の最前線の現状と課題を討議していただきたい。

21.大動脈瘤・大動脈解離治療最前線

大動脈瘤・大動脈解離は突然死の代表的疾患であり、高齢化に伴い増加傾向にある。治療方法も従来の人工血管置換術から、血管内治療であるステントグラフトの登場で大きく変貌を遂げている。しかしながら、血管内治療は再治療介入が多く、まだ課題も多いのが浮き彫りとなってきた。本セッションでは、胸部・腹部大動脈疾患それぞれに対して、大動脈解離も含め最新の治療成績を提示していただき、現在の標準術式、課題、展望について議論していただきたい。

22.術前化学療法時代の消化器がん周術期栄養管理を考える

進行食道がんの標準治療が術前化学療法(NAC)後の根治切除になってから久しいが、膵がんに対してもNAC後の手術が提唱され、進行胃がんもNAC後手術の有効性が検証されている。その結果、術前待期期間が延長し、その間は化学療法の有害事象も加わり、低栄養状態が危惧されている。また、進行がんが対象で、いわゆるborderline resectableや初診時切除不能と診断された症例のconversion surgeryが含まれることから、悪液質・サルコペニアを呈する症例も多い。従って、長い術前期間、特に外来での栄養管理の重要性が高まったと思われる。このように、NAC時代となった消化器がん外科治療の周術期栄養管理のポイント、特に予後と関連する栄養指標やチーム医療の意義、さらにいつどのような介入が望まれるかなどをご発表いただき、議論していただきたい。

ビデオパネルディスカッション(公募・一部指定)
1.食道がんに対するロボット支援下手術のメリット、デメリット

食道がんに対するロボット支援下手術が保険適用となって約5年が経過している。当初は比較的早期の症例を対象とする施設が多かったが、最近はサルベージを含めた進行がん症例も適応とする施設も増えているようである。短期成績だけでなくある程度の長期成績も明らかになりつつある中、ロボット支援下手術ならではのメリット、デメリットについてご報告いただき、大いに討論していただきたい。

2.肥満手術の現状と展望

高度肥満に対する減量手術は、日本では唯一スリーブ上胃切除が保険適用されている。海外で多く行われているバイパス手術はmetabolic surgeryとしての効果が高いといわれているが、国内では目下先進医療で評価中となっている。一方で、肥満糖尿病に対する外科治療はスリーブ手術を含め、海外のような件数には増加していないのが現状である。各施設の現状と課題、今後の展望を議論していただきたい。

3.ロボット支援下結腸がん手術の未来

本邦でも2022年4月からロボット支援下結腸手術が保険収載され、今後ロボット支援下手術が結腸手術の標準的術式になりうることが予想される。本セッションでは、ロボット支援下結腸がん手術の新規導入について各施設の取り組みをご報告いただき、今後の展望と課題について議論していただきたい。

4.横行結腸がんに対する治療戦略

横行結腸がんに対する手術は、難易度が高い理由として、肝弯曲や脾弯曲授動を伴う場合、結腸と十二指腸、膵臓、脾臓、大網など重要臓器と隣接していることが挙げられる。また処理する血管系は解剖学的に variation が多く、根治を目指した進行横行結腸がん手術はさらに高難度とされている。本セッションでは、郭清のテクニックや安全な外科手術を施行するための取り組みを討論していただきたい。

5.直腸がんに対する至適アプローチ法

骨盤深部の直腸がん手術は高難度とされてきたが、腹腔鏡の導入により拡大視効果や微細解剖の把握などの利点を享受できるようになり、さらに2018年に保険収載されたロボット支援下手術や腹腔側アプローチの欠点を克服するtaTMEといった新たなアプローチ方法での手術数も年々増加してきている。腫瘍学的、機能的観点からそれぞれのアプローチ方法における手術適応やメリット・デメリットについて、治療成績とともに論じていただきたい。

ワークショップ(公募・一部指定)
1.免疫チェックポイント阻害剤導入後食道がんに対する治療戦略は変わったか

食道がんに対する免疫チェックポイント阻害剤は、進行再発症例だけでなく術前治療を行った症例の術後補助療法にも適応となり、その使用機会はますます増加している。従来の化学療法剤とは異なった作用機序のため、劇的な効果を示すこともあり、進行食道がんに対する治療戦略が変容していく可能性もある。本セッションでは、外科医の立場から食道がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の治療成績をご報告いただき、今後の治療戦略について討論していただきたい。

2.ポストJCOG1109における進行食道がんに対する治療戦略

JCOG1109の結果がオープンとなり、わが国における進行食道がんに対する標準術前療法が新しい段階に入ってきている。しかしながら、照射手技の進歩に伴い化学放射線療法の成績も向上してきている。さらに免疫チェックポイント阻害剤の食道がん診療における立ち位置も徐々に大きくなってきているのも事実である。このような状況下における進行食道がんに対する治療戦略に関して討論していただきたい。

3.食道良性疾患に対する外科医の立ち位置を考える

内視鏡的治療と薬剤治療の進歩により、これまで手術適応であった食道アカラシア、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎もある程度の割合で内科領域の疾患になりつつある。しかしながら中にはどうしても外科的介入が避けられない症例があるのも事実である。本セッションでは、食道良性疾患に対する施設での治療戦略と、その中での外科医の立ち位置についてご提示いただき、互いに討論していただきたい。

4.コンバージョン手術の現状と展望(臓器横断)

切除不能・再発胃がんに対する化学療法レジメンは、ICIの導入も含め多く存在する。特に1stラインからICIを使用して治療成績もまとまったものが出てきており、従来の予後と改善がみられることも予想される。また、コンバージョン手術により切除できる対象も増えてきた印象もある。しかしながら、効果があった場合、ICIをどこまで継続するのか、コンバージョンのタイミングはいつなのか、議論も多い。各施設の経験・データを提示し、議論していただきたい。

5.胃がん周術期化学療法の最前線

進行胃がんに対する術前化学療法(NAC)は未だガイドラインでは治療アルゴリズムには提示されていない。JCOGでは目下検証中であるが、海外からもその有用性は多く報告されている。術後化学療法もstageⅢにおいてDS療法がガイドラインで推奨され、Ⅲ期胃がんの予後も向上していると思われる。周術期化学療法の効果について議論していただきたい。

6.直腸がんに対する術前集学的治療の最前線

欧米では進行直腸がんに対する術前CRTが標準治療となっており、近年、進行直腸がんに対して局所再発と遠隔転移の制御のため、術前化学療法とCRTを併用したTotal neoadjuvant therapy(TNT)が発達してきており、本邦でも導入する施設が増えている。Total Neoadjuvant TherapyやWatch and Waitなどのコンセプトも広がりつつある。本セッションでは、本邦での直腸がん治療における術前治療の必要性、適応や取り組み(外科・腫瘍内科・放射線科の連携など)、治療成績など議論していただきたい。

7.神経内分泌腫瘍に対する切除適応の実際

神経内分泌腫瘍は希少疾患でありながら、全身から発生し悪性度が様々であることから、原発巣に対する手術適応および切除術式の決定が難しい。本セッションでは、神経内分泌腫瘍の切除適応、術式選択を含めて各施設での方針と経験を提示していただき、リアルワールドでの切除の実態をご報告いただきたい。

8.消化管間質腫瘍(GIST)治療の課題と展望(臓器横断)

GISTに対する分子標的治療は、それまでの悪性腫瘍治療に対する治療戦略を一変させる画期的な新しい歩みへの一歩となり、パラダイムを転換する大きな一歩となった。その後、特有の有害事象や二次的薬剤耐性など新たな課題も明らかとなってきた。多くの臨床試験の結果から、治療戦略にも様々な課題が指摘されている。進行GISTに対する外科的介入を含めた集学的な治療戦略について議論していただきたい。

9.炎症性腸疾患に対する外科治療の役割

潰瘍性大腸炎、クローン病を代表とする炎症性腸疾患は内科治療に重点が置かれ、外科治療を必要とする症例は限られるが、近年患者数は増加の一途を辿り、外科医の観点からも適切な治療ができるよう常に準備する必要がある。本セッションでは、外科治療を必要とする炎症性腸疾患患者の病態や治療指標、術式選択などに焦点を当て討議していただきたい。

10.複雑性虫垂炎のベストプラクティス

穿孔や膿瘍形成を伴う複雑性虫垂炎の標準治療は緊急虫垂切除であるが、単純性虫垂炎と比べて術後合併症の発生率が高く、回盲部切除などの拡大手術を要することもある。そのため保存的加療後の待機的虫垂切除(interval appendectomy)も選択肢となるが、方針の選択について明確な基準はない。本セッションでは、複雑性虫垂炎に対する各施設の治療方針について、治療法の選択基準や手術のタイミング、アプローチ方法(開腹、腹腔鏡)など様々な観点より議論していただきたい。

11.腹壁瘢痕ヘルニアのベストプラクティス

腹部手術後において一定数起こる腹壁瘢痕ヘルニアに対し、近年、内視鏡下手術やロボット手術など低侵襲手術も普及しつつある。今後は高齢化、肥満化、腹部手術既往の増加に伴い、外科医として腹壁瘢痕ヘルニアを治療する機会が増えると予想される。腹壁瘢痕ヘルニアを予防するための工夫と、発症時の至適治療法を討議していただきたい。

12.食道閉鎖症術後合併症を低減する対策について

先天性食道閉鎖症術後には吻合不全、吻合部狭窄、気管食道瘻再発、気管軟化症、胃食道逆流症、胸郭変形などの様々な合併症があり得る。その合併症を減らすための手術手技のこだわり、工夫、術後管理などを、鏡視下手術、開放手術にかかわらず各施設からご提示いただき、最善の治療戦略を議論していただきたい。

13.術前化学療法後の乳がん手術

乳がんの術前薬物療法の目的は、病変の縮小と微小転移を抑えることと、可能な限り乳房温存手術を施行すること、さらには「非手術の可能性」を目指すことにある。しかしながら、遺残病変の評価や特定方法など、化学療法前・後の画像診断を含めた課題も多く、領域照射の適応と合わせて、センチネルリンパ節生検あるいは腋窩リンパ節郭清の適応なども課題である。さらに、術前薬物療法後の同時乳房再建術に関しても賛否両論がある。現状ならびに知識・エビデンスを把握し、今後の展望を議論していただきたい。

14.腋窩リンパ節転移に対するマネジメント

腋窩リンパ節郭清の臨床的意義は、いまだに不明な点が多い。センチネルリンパ節生検(sentinel lymph node biopsy:SLNB)の導入により、転移陰性症例に対する郭清の省略は概念的に許容され、その後の臨床試験により検証された。センチネルリンパ節転移陽性の場合にどのように治療戦略を構築し検証するかが現在の大きな課題である。ACOSOG Z0011試験によれば、clinical T1-2N0、乳房部分切除および残存乳房への術後照射を施行された症例について、SLNBにて転移陽性の場合でもリンパ節郭清を省略しうることが示唆され、世界的に腋窩郭清省略の大きな潮流が生まれている。センチネルリンパ節転移陽性で腋窩郭清省略例の長期予後、それぞれの施設での腋窩郭清の適応等について議論していただきたい。

15.情報テクノロジーを用いた乳腺診療(ePROなど)

近年の臨床試験においては、患者の主観評価である患者アウトカムの重要性が高まっている。タイムリーにデータを閲覧でき、かつ正確で完全なデータを得られるePRO(electronic Patient-Reported Outcomes)の導入が急速に進んでいる。ePROを使った試験では、紙のPROを使用する場合と比較して、患者の試験プロトコルへの遵守率が高まるとされている。また、紙では必要だった電子データ化作業が不要となり、転記時のミスや作業の手間が省け、試験データの品質を向上させると同時に業務の効率化を図ることができる。さらに、ePROを使うことでより精度の高いデータ収集が可能になり、データ間のばらつきも減少することから、治験に必要な症例数が従来よりも少なくて済み、ひいてはデータ解析が早期に開始できるなどの効果も確認されている。さらには、日常臨床にePROを導入することにより、患者満足度の向上、重篤な有害事象の早期発見、QOL向上、全生存期間の延長などの有効性が国外の臨床試験で示されている。これらの課題につき、国内での取り組みなどを議論していただきたい。

16.甲状腺乳頭がんに対するActive Observation

2018年改訂の甲状腺腫瘍診療ガイドライン第2版では、乳頭がんを超低リスク、低リスク、中リスク、高リスクと分類(案)し、超低・低リスクには 葉(峡)切除を、高リスクには全摘を推奨し、中リスクに属する症例には幅を持たせ、予後因子や患者背景を考慮して全摘か葉切除術かを選択するとしている。中リスク甲状腺乳頭がんは、超低・低・高リスクのいずれにも該当しない「がん」である。T1N1M0またはT2N0、1M0であり、かつ、リンパ節転移がある場合は3cm以下でEx2相当の転移がないものである。中リスク症例に対する治療方針は、様々な因子を考慮して症例ごとに決定されている。本セッションでは、中リスク症例に対するActive Observationを含めた戦略をお示しいただきたい。

17.悪性胸膜中皮腫に対する手術法の選択と周術期管理の実際と課題

悪性胸膜中皮腫(MPM)に対する手術には、胸膜・肺・横隔膜・心膜を一塊として切除する胸膜肺全摘術(EPP)と、肺を温存し壁側胸膜と臓側胸膜を切除する胸膜切除剥皮術(P/D)が行われている。大規模無作為化比較試験の実施が難しいので、各病院や医師が経験に基づいて術式を選択し、独自の術後管理を行っている現状である。各施設において、P/DまたはEPPの術式を選択する現状と理由を発表していただきたい。更に、ドレーン管理、輸液、抗生物質、鎮痛対策、食事、離床、肺瘻や胸水のコントロールなどの術後管理方法についても議論していただきたい。

基調講演1:
 (録画)
Prof. Joseph Friedberg
(Temple University - Fox Chase Cancer Center)
基調講演2:
 (録画)
Prof. Marc de Perrot
(Toronto General Hospital and Princess Margaret Hospital, University of Toronto)
18.高齢者弁疾患に対する治療戦略とその課題

高齢化の進む先進国においては加齢に伴う弁膜症が増加している。特に、大動脈弁狭窄症は潜在患者数が50~100万人とも推測されている。以前は保存的に経過観察される場合が大半であったが、現在ではADLの保たれた重症弁膜症患者が増加し、積極的治療が求められるケースも少なくない。経カテーテル治療(TAVR/MitraClip)も実臨床に根付いてきており、様々な選択肢がある中で、現状の高齢者に対する弁膜症治療に対する課題と今後の展望を議論していただきたい。

19.外科治療におけるGLIM criteriaの意義を考える

世界共通の低栄養の診断基準として2018年に発表された GLIM criteriaであるが、わが国の外科領域における有用性はまだ十分に検証されていない。近年では、生体電気インピーダンス法による体組成計の普及もあり、筋肉量などの体組成指標が容易に測定できるようになった。そのため、骨格筋量評価を含む現症と病因によるGLIM criteriaの低栄養診断も可能な機会が増えた。さらに、重症度判定や、炎症に関連する病因別の低栄養分類など、特に消化器がんなど悪性腫瘍術後の短期・長期予後との関連性が期待される指標でもある。本セッションでは、様々な外科診療におけるGLIM criteriaの適切な評価時期と臨床的有用性、特に予後予測因子としての意義などを論じていただきたい。既存の栄養指標・サルコペニア・フレイルとの関連性や、それらの結果を踏まえて何らかの周術期栄養介入が予後向上に寄与する可能性も模索したい。

20.腸内細菌叢とがん治療

消化器がんに限らず、近年様々ながん腫において、外科手術や化学療法、放射線治療等における治療成績や予後、合併症に腸内細菌叢が与える影響が報告されている。単にがん治療中の腸内細菌叢の変化に伴うバクテリアルトランスロケーションや腸管感染症の制御に留まらず、宿主の腫瘍免疫や発がんそのものを制御する可能性のある最新の研究成果について議論していただきたい。

21.腸内細菌叢の制御を目指した周術期管理

侵襲の大きな手術における周術期管理においては、術後合併症を防ぐために適切な栄養管理を行うだけでなく、免疫栄養や腸内細菌叢の制御を意識した管理が注目されている。安全な周術期管理を行うために必要な栄養管理、新規シンバイオティクスや免疫栄養等の臨床導入とその意義、臨床成績について議論していただきたい。

22.救急医療におよぼす外科医の働き方改革の影響と克服すべき課題

外来診療、入院診療、検査、手術、周術期管理などの業務を遂行しつつ、救急医療に貢献している多くの外科医にとって、目前に迫った働き方改革への対応は大きな課題である。なかでも、限られた勤務時間を救急医療にどのように振り向けるかは病院にとっても大きな関心事である。研修医の救急医療への参画・研修も課題が多い。忌憚のないご議論をいただきたい。

23.超高齢患者に対する救急対応における課題と対策

90歳を超える超高齢救急症例では、併存疾患の有無・全身状態などから、緊急手術を施行するかどうか迷うことが少なからずある。本セッションでは、実際の臨床経験から考えられた手術適応基準・除外基準、有効な緊急手術回避方法、手術時の注意事項など超高齢救急症例に対する対応方法についてご報告いただきたい。

24.災害医療への取り組み

現代は東南海トラフ地震や首都直下型地震のみならず、突然の大雨をもたらす線状降雨帯による豪雨災害など正確に予知することの困難な災害のリスクに備え、災害に即応できる医療体制が求められている。外科医はどのような準備をしておくか、各施設におけるBCPの確立、地域や行政との連携を含め、これまでの経験を踏まえて様々な観点から議論していただきたい。

25.外科医の働き方改革とICT(またはDX)

働き方改革の必要性が叫ばれる背景には、我が国の課題である人口減少という構造的な問題に加え、我が国における投資不足とイノベーションの欠如を起因とする労働生産性の低迷があるされている。ICT(Information and Communication Technology)の利活用が労働参加率と労働生産性の向上の2つに寄与するものと期待されているが、医療においてはテレワークが困難な分野が多い。これらを克服する外科医の働き方改革におけるICT(または、DX:Digital Transformation)の役割や成功事例、将来展望等をお示しいただきたい。

26.挫折・失敗から考える女性医師のキャリア支援

近年、女性医師の割合は増加しており、出産や育児といったライフステージに応じた就労支援が様々な施設で実施されている。制度を活用しながら活躍している外科医がいる一方で様々な理由から両立が難しく、外科医としてのキャリアを断念せざるを得ない女性医師もいる。本セッションでは、困難に直面している方、外科を辞められた方、ライフイベントを乗り越えた方、医局を運営している方にご登壇いただき、キャリアの挫折や支援の失敗体験を語っていただくと同時に、女性医師のキャリア支援の課題と必要な方策について論じていただきたい。

27.外科医が身につけるべき感染症診療の知識と技能

手術を執刀する外科医にとって、手術手技は習得すべき重要な知識と技能である。一方で、手術を成功に導くうえでは、患者の術前評価や治療選択における適切な侵襲の評価が重要であり、術後合併症としての感染症に対峙する知識や技能も要求される。我が国においては多くの医師が感染症診療を体系的に学ぶ機会が十分あったと言えない現実がある中で、外科医の臨床経験と感染症診療のエビデンスをすり合わせる機会が望まれる。本セッションでは、術前管理から術後合併症にわたる多角的な見地から十分なエビデンスのない領域も含め、外科医が身につけておくべき感染症に関する知識と技能について、前向きな提案とディスカッションを期待する。

28.外科医にとってのトランスレーショナル(TR)研究

新しい医療開発はこれまで製薬企業や医療機器開発企業を中心に進められてきたが、近年開発された医薬品等には大学や研究機関における研究成果から医薬品等につながった事例もあり、大学や研究機関のシーズからのブレイクスルーが注目されている。研究の発想から着手、そして、臨床研究、治験、最終的な実用医療には越えなければならない大きな山がある。一つひとつのプロジェクトに対して解析施設、そして調製施設、またバイオ先端臨床研究審査委員会という審議機関を立ち上げて、それらがそれぞれ第三者機関としてお互いに評価しながら、一つのプロジェクトに対して一つのチームを構築してやっていくというシステム作りの整備が急がれる。外科医だからこそ目指せるTR研究があるはずである。「試験管からからベッドサイドへ」の精神をもって、先人たちの偉業を学びながら、基礎研究を志す若き外科医へのエールをお送りいただきたい。

ビデオワークショップ(公募・一部指定)
1.ロボット手術における起死回生の一手

2018年4月にロボット支援胃がん手術は国内で保険診療として認可され、現在多くの施設で導入されている。高解像度の3Dカメラによる拡大視効果に加え、多関節機能や手振れ防止機構により、より精密な郭清が行われ、膵液漏等の合併症が減ることが期待されている。一方、触覚の欠如に伴う副損傷や手術時間の延長も指摘されている。この手術を行うにあたり陥りやすいpitfallやtroubleとその対処法、緊急時の指導医や助手、MEや看護師の役割についても具体的に示していただきたい。

2.合併症軽減のための結腸左半切除術の手術手技

左側結腸がんに対する結腸左半切除術は腫瘍局在や血管のvariationによってリンパ節郭清を含む切除範囲が異なるため、各施設によって様々なアプローチが採用されており、定型化されていないのが現状である。本セッションでは、各施設における左側結腸がんに対する合併症軽減を目指した腹腔鏡手術の手技や利点、今後の課題等について論じていただきたい。(当初の内容を一部変更しております。2023.6.2)

3.結腸がんに対する体腔内吻合の適応と問題点

近年さらなる結腸がん手術における低侵襲化を目指した体腔内吻合が話題となっている。体腔内吻合には創長の短縮や剥離範囲の減少などの利点が期待される。しかし、残便による感染の増加や腫瘍細胞の散布による再発の懸念など、明らかになっていない欠点が存在する可能性もある。本セッションでは、体腔内吻合の問題点を挙げ、確実・安全に施行するための問題点と工夫について議論していただきたい。

4.腹腔鏡下系統的肝切除における定型化と教育/指導システム

2010年4月腹腔鏡下肝部分切除および肝外側区域切除術が、2016年4 月には腹腔鏡下系統的肝切除が保険収載された。系統的肝切除は侵襲が大きく、術中大量出血や重大な術後合併症をきたしうる高難易度の手術である。腹腔鏡下系統的肝切除で最も重要な手技である肝門脈管処理などの定型化と、教育・指導システムに関して議論していただきたい。

5.肝内胆管がんに対する腹腔鏡下肝切除術の適応と手技

近年腹腔鏡下肝切除術の普及に伴い、肝内胆管がんに対する手術報告も増えているが、切除術式の決定、リンパ節郭清程度について統一した見解は得られていない。本セッションでは、各施設での肝内胆管がんの腹腔鏡下手術適応、選択する手術術式、リンパ節郭清範囲についてご報告いただきたい。

6.肝がん・胆道がんに対する血行再建を伴う肝切除の工夫と成績

血管浸潤を伴う進行肝がんや胆道がんに対する肝切除では、血管合併切除/再建がR0切除率の向上に寄与しうるが、術前化学療法を含めた治療計画、中長期予後を見据えた手術適応や安全性確保のための手術計画/手技が重要となる。本セッションでは、根治切除を目指したアプローチや手術手技をご提示いただくとともに、化学療法を含めた治療計画や手術適応/タイミングについても議論していただきたい。

7.小児外科領域におけるICG蛍光法の活用(臓器横断)

近年、術中ナビゲーションの目的でICG蛍光法が広く用いられるようになってきている。小児外科領域でも様々な場面で役立つ可能性があるが、ICG蛍光法の適応、有用性についてご報告いただき、手術の安全性、確実性の向上に繋がるように経験を共有していただきたい。

特別要望演題(口演・ポスター)
1.私の自慢のオペレコ(作成法もお示しください)
要望演題(口演)
上部消化管
1.鏡視下食道がん手術の術中トラブルシューティング
2.消化器がん治療における周術期の栄養戦略
3.食道がん周術期におけるチーム医療
4.残胃がんの治療戦略
5.食道良性疾患に対する治療戦略
6.上部消化管閉塞に対するステント治療の有用性
7.胃・食道がんに対する免疫チェックポイント阻害剤の治療成績
8.進行食道がんに対する術前補助化学療法の進歩
9.食道胃接合部がんに対する切除術式と再建術
下部消化管
10.直腸がんに対するロボット手術のトラブルシューティング
11.直腸がんに対する側方リンパ節郭清の手術手技
12.大腸憩室炎に対する手術戦略
13.IBDに対する手術手技
14.消化管手術における最適な人工肛門
15.虫垂炎治療:待機手術vs早期手術 
16.大腸がんに対するステント治療の有用性
17.遺伝性大腸がんに対する診療上の問題点
18.肛門疾患に対する日帰り手術の工夫
19.直腸脱の術式選択
肝・胆・膵
20.急性胆管炎・急性胆嚢炎の治療
21.超高齢者膵がんに対する外科的治療の役割
22.肝細胞がんにおける肝切除:系統的vs非系統的切除
23.肝移植後(生体・脳死)の晩期合併症
24.肝・膵切除におけるドレーン挿入・管理
25.Incidental胆囊がんに対する対応
26.転移性肝がんに対する治療方針と成績
心臓血管
27.カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の現状
呼吸器
28.肺がん区域切除後の局所再発に対する手術
29.肺がんに対するロボット手術のトラブルシューティング
30.難治性気胸に対する治療 
31.転移性肺がんの治療方針と成績
乳腺内分泌
32.オンコプラスティックサージャリーにおける私の工夫
33.乳腺領域における地域医療体制
34.手術不能再発・甲状腺がんに対する薬物療法
35.進行甲状腺がんに対する手術 ―私の工夫―
36.甲状腺検診の理想と実際
37.BRCA異常にまつわる基礎と臨床
38.乳房再建[一次再建 vs 二次再建]
小児
39.小児の外傷治療
40.小児がん治療に対する最新治療と今後の展望
ヘルニア
41.内ヘルニアの診断と治療
救急・消化管全般・COVID-19
42.救急疾患における腹腔鏡手術のメリット・デメリット
43.絞扼性腸閉塞の診断と治療
44.NOMIの診断と治療
45.広範囲小腸切除後の短腸症候群に対する治療・管理での工夫
領域横断
46.超高齢者の外科治療
47.各領域におけるSSI対策
48.経済面からみたロボット手術
49.周術期口腔ケアの意義
50.外科領域における院内感染チーム(AST)の活躍
51.移植術後管理におけるポイント
52.消化器手術におけるERAS
53.高度肥満症例に対する外科手術の工夫
54.日帰り手術の適応と問題点
55.NSTの進歩と工夫
56.外科医が行う外来化学療法
57.外科医が関与する緩和医療
58.SSI予防から視た創管理の工夫
59.形成外科とのコラボレーションの実際と課題
60.困難症例のマネジメントから学ぶ:未来に伝える知恵
61.外傷診療における克服すべき課題 
働き方改革 
62.医師の働き方改革:自己研鑚のあり方
63.医師の働き方改革:ICTの活用
その他
64.地域医療を支える外科医の確保に何が必要か
65.クリニカルパスと地域連携パスの進展
要望演題(ビデオ)
上部消化管
1.上部胃がんに対する脾門部郭清の工夫と今後の展望
2.上部消化管がんに対する手術 ―伝えたい私のこだわり―
3.胃全摘後の再建法
4.食道がんに対する頸部郭清
下部消化管
5.難治性痔瘻に対する治療のアプローチ
6.後進に伝えたい虫垂切除術のコツと注意点
肝・胆・膵
7.血管再建を伴う肝切除の適応と手技
8.膵がんに対する上腸間膜動脈周囲郭清手技
9.腹腔鏡下肝切除における術野展開の工夫
10.私の胆囊摘出術
ヘルニア
11.私の鼠径ヘルニア手術
一般演題(口演・ポスター)
カテゴリーA(臓器別等分類)、カテゴリーB(分野別分類)、カテゴリーC(症例報告か否か)よりそれぞれ該当するものを選択してください。
研修医セッション・学生セッション ※Awardあり
本セッションの趣旨は、若手医師(初期臨床研修医)の発表修練の場とすることです。
初期臨床研修医の皆様が学んだ症例、研究成果について積極的に発表・討論を行っていただく機会を与えるとともに、優秀な演題について表彰を行うことにより、さらに外科への興味をもっていただくことを目的に、本総会ではこのセッションを重要視しています。
基礎はもとより臨床研究を含め、結果には至らない中間報告、経験報告でも結構ですので、多くの応募を期待します。
研修医セッション・学生セッション 応募資格
応募時点で医学生もしくは医師免許取得後2年目以内の初期臨床研修医であれば、日本臨床外科学会会員でなくても応募可能です。
「研修医セッション」を選択いただいた場合には、医師免許取得年をご記入いただきます。
医学生の場合は「00」とご記入ください。
その他、演題登録に関する規定等は下記、演題募集要項をご参照ください。
文字数制限 
演題名:全角90文字以内
抄録本文(日本語):全角600文字以内
※上記の文字数を超えると登録できません。
共同演者・所属機関の登録
共同演者は筆頭演者を含めて15名まで、所属機関は10箇所まで登録できます。
利益相反状態(COI)の自己申告
演題登録時、演者全員(筆頭、共著)の利益相反状態(COI)について申告していただきます。
自己申告が必要な期間は、演題登録日からさかのぼって3年間となります。
また、総会での発表時にも、演題登録日の3年前から発表日までの期間について、自己申告が必要となります。
利益相反状態(COI)の自己申告についての詳細はこちらをご確認ください。
<演題登録時の利益相反申告の手順>
概要: 利益相反の開示が必要な演題の演者は、下記より「利益相反申告書」をダウンロードし、必要事項記入の上、演題登録システム上にアップロードしていただくことになります。

手順1: ダウンロードした申告書をデスクトップに保存いただき、演題登録前に必要事項をご記入の上、Wordファイルにて保存してください。
※申告項目がない項目については、「該当の状況」に「無」と記載してください。
※当該演者と企業名等および利益相反状態が発生した年(西暦)が分かるよう記入してください。
手順2: 演題登録ページに入り、必要な全ての項目を入力後、登録完了画面に表示される「論文ファイルのアップロード」より申告書をアップロードしてください。
※ここまで終了しますと、すべての登録が完了となります。
受領通知
演題登録完了後、入力した電子メールアドレス宛に確認のメールが自動配信されますので、必ず内容をご確認ください。
はがき等での通知は行いませんので、ご了承ください。
確認のメールが届かない場合は、電子メールアドレスが間違って入力されている可能性がありますので、確認・修正画面から正しく登録されているかをご確認ください。

※Gmailでご登録いただいた際には、演題登録完了後の自動返信メールが届かない場合がございます。
 必ず、登録時に表示される演題番号を手元に控えるようお願いします。
演題採否
演題採否は第85回日本臨床外科学会総会事務局により決定いたします。
演題申込の分野などに関しましては、ご希望に添えない場合もございますので予めご了承ください。
演題採否ならびに発表日時・会場は、8月下旬頃にご登録いただいたメールアドレス宛にご連絡いたします。
登録画面
平文通信
※暗号通信が使えない場合にのみ以下をご利用ください。
演題登録に関するお問合せ
第85回日本臨床外科学会総会 運営事務局
株式会社キョードープラス
E-mail:85jsa@kwcs.jp
主催事務局
川崎医科大学総合医療センター 院長秘書室
〒700-8505 岡山県岡山市北区中山下2-6-1
運営事務局
株式会社キョードープラス 〒701-0205 岡山県岡山市南区妹尾2346-1
TEL:086-250-7681 FAX:086-250-7682 E-mail:85jsa@kwcs.jp